ダルビッシュ登板!上原浩治最高!ワイルドカード レンジャーズ×オリオールズ 2012105 pt2
大歓声と共に迎えられたのはレンジャーズのルーキー、ダルビッシュ選手です。
登場と共にお馴染みのテーマ曲Soulja boy tell'emの"crank that"が流れ、一気に盛り上がります!
復活を果たし、すっかり人気選手の一人になりました。
特に若くて可愛いティーンの女の子に人気(笑)
ファンはテキサス"T"ロゴ入りのタオルを振り回し、大声援を送ります。
もちろん、大音量の"YUING"と共に!
タオルを振り回して盛り上がっているけれど、お祭りではありません。
ダルビッシュ選手はいつもと同じように見えました。
きっと、彼の中ではこの日も平常心だったのでしょう。
かるーくキャッチ・・・・かと思っていたら1塁を守る
マイケル・ヤングがいきなりエラー!!ええええ、ここで?!
こんな大事な試合であまりにも真剣さが足りないのではと思うエラーでした。
チームのまとめ役でありベテランのマイケル・ヤングなのに。しっかりして下さいよもう!
悪いことは続けて起きるもので、キンズラーが盗塁を防げず
オリオールズにいとも簡単に1点取られてしまいます。
1回裏、先ほど盗塁を防げなかったキンズラーのフォアボールでの出塁をきっかけに
レンジャーズが1点を追加します。これで1-1!
よし!!
先制はされたものの、両チーム譲らない試合が続きます。
2回にはキンズラーが打たれたボールをしっかりキャッチ!
ダルビッシュ選手先発の時はなぜかエラーの多い彼ですが、今日はがんばってます!(・∀・)イイヨイイヨー
しかしそのあと珍しくダルビッシュ選手がデッドボールを出してしまいます。大丈夫かな・・・・・
痛そう~。
チームメイトも集まってきました。
なりゆきを見守るレンジャーズのダグアウト。
なんとか異常はなかったようでデッドボールを受けた選手が出塁。
幸いにも点にはつながらないまま、2回裏へ。
2回裏にはマイケル・ヤングがヒット、ナポリへ!
ダブルヘッダーの試合で何本もホームランを飛ばしたナポリ。
大きな期待が寄せられます。あの時のナポリ、今夜もかもーーーん!!!
・・・残念ながらナポたん、”空振り三振”。
その後続いたソトも打てず、1-1のまま双方譲らず試合が続きます。
観客も気が立っているのか、私たちの席の前方で大きなサインを掲げていた
オリオールズのファンにレンジャーズファンが激怒。
”それをさっさと降ろせ!!”と声を荒げる人がいました。
普段こんなことなんてないし、レンジャーズファンは割とお行儀がいい方なんですけどね。
この日はみんなぴりぴりしていたのでしょう。
1-1のまま試合は進みダルビッシュ選手も力投。
コントロールも良いし、ここまでフォアボールはゼロ!
しかし6回表、ダルビッシュ選手はヒットを続けて打たれてしまいピンチに。
そのまま犠牲フライからついに1点追加されてしまいます。
これで2-1。
また入れられてしまった・・・と思っていると、マウンド上の
ダルビッシュ選手の様子がちょっと変です。どうしたのかな??
あれ?背中か腰を痛めたのでしょうか。
ダグアウトからすぐにワシントン監督やコーチたちが駆けつけてきます。
どうやら先ほどの投球で痛めたみたいです。
マウンド上での話し合いが長く続きました。
審判たちも集まって話し合い。
その間観客はみんな立って見守り、その間にダルビッシュ選手は
軽く投球練習を始めました。監督も真剣なまなざしで見つめています。
何度か投げた後、投球続行することに決めたのでしょう。見守っていたファンは熱く拍手を送りました。
この後の7回裏、あまりにもやる気のないハミルトンのバッティングに
ボールパーク中からブーイングが起きました。レンジャーズの”顔”だったはずのハミルトン。
シーズンスタート時は打席に立つたびにホームランを飛ばしていた彼ですが、
不調に陥ったままシーズン序盤のような調子を取り戻すことはありませんでした。
7回、ダルビッシュ選手はマウンドに登場するのかどうか、私も夫も固唾をのんで見守りました。
あ、出てきた!
先ほどの回で背中もしくは腰に痛みがあったようですが、
続投することになったダルビッシュ選手に観客は大喜び。
2-1とリードされたままですが、”ダルビッシュ選手がいるなら
きっと大丈夫だ”という気持ちがみんなにあったのだと思います。
先ほどのことがあったので、投球前に軽くストレッチ。
喜んだのもつかの間、残念なことにダルビッシュ選手、この後に降板してしまいました。
こんなところで?きっとまだ投げられたのに・・・・・・。
ボールパーク中のレンジャーズファンからブーイングが起きました。
それはダルビッシュ選手ではなく、ワシントン監督へのブーイングでした。
”ダルビッシュ選手をもっと投げさせろ”という、監督の采配に対するブーイングなのです。
ワイルドカードの先発投手を務めたダルビッシュ選手への拍手はいつまでも鳴りやみませんでした。
観客席の人たちにご注目。みんなダルビッシュ選手に声援を送っている所です。
俯き加減でゆっくりとダグアウトへと下がるダルビッシュ選手、日の丸を持った女性の姿も見えます。
そしてレンジャーズのマスコット、キャプテンもダグアウト上で脱帽し、
ダルビッシュ選手へリスペクトのポーズを取りました。このシーンはいまもよく覚えています。
この夜のダルビッシュ選手は調子が良く、まだまだ投げられたはず。
フォアボール病もどこへやら、一つもなかったのです。
どちらかというと味方の選手のエラーがダルビッシュ選手の足を引っ張っていました。
もう少し、彼の力投する姿を見ていたかったのです。
このころには天気予報通り、昼間とは打って変わって気温が下がり14,5度ほどだったと思います。
ジャケットや毛布に身を包み、肩を寄せ合ってファンはダルビッシュ選手の背中を見送りました。
ダルビッシュ選手が降板した後、その続きを任されたのは先発投手ホランド。
”ホランド”は英語で”オランダ”を意味する言葉です。
それゆえ、ホランドはファンから”Dutch君”と呼ばれることも。(Dutch=オランダ人)
いや、あのそれはいいんですがなぜホランド??
ワシントン監督、大丈夫ーーー?!
基本的にホランドは先発なので、この大事な場面を押さえられるかどうか不安・・・・。
その不安は見事にあたり、いきなり打たれて3-1。
ほら言ったこっちゃないのさーー!!
この時のワシントン監督の采配は完全に間違いでした。
ヤングもベルトレもつまらないエラーを出し、だんだん選手たちも
集中力が途切れていったような印象です。
もうこのころになると、オリオールズが優勢という空気になってきました。
試合が進んでも、オリオールズの選手たちはレンジャーズのように崩れたりしないのです。
点を重ねて行ったこともあり、レンジャーズとは反対により落ち着いていくオリオールズ。
失望感が観客席を包み始めた8回、マウンドへと走ってきた選手を見て観客は沸き立ちました。上原選手です!
8月末の怪我から復帰後、”ここぞ”という場面で必ず抑えてきた上原選手。
上原選手、今日もいいところを見せて下さい!!
期待通り、上原選手は古巣オリオールズを三者三振に。
今シーズンが終わるとFAになる上原選手。
レンジャーズのユニフォーム姿の彼をしっかり見届けましたよ~!
観客が元気になれたのはこの上原選手の時だけでした。
8回裏、何としても追加点が欲しいレンジャーズですが誰も打てません。
打席に立ったハミルトンにまたしてもブーイング。
この時のハミルトン、私から見ても”やる気”の感じられないプレーに見えました。
球団オーナーのノーラン・ライアン氏もいつもの席で渋~い顔。
ちょっと見えにくいですが、下の画像に黄色の丸で囲んだ人がいます。
”T”とマジックで書いた紙袋をかぶっています。
これは、”レンジャーズのプレーが情けなくて恥ずかしい”という意思表示なのだそうです。
ファンがそんな意思表示をしてしまうほど、それほどまでに
レンジャーズは”打たない、打てない、守れない”夜だったのです。
追加点を取れないまま、ついに9回がやってきてしまいました。
9回へ変わるときにフィールドでマーフィー、キンズラー、ハミルトン。
3人集まってどんな会話をしていたのでしょうか。まさか”ガム持ってない?”じゃないよね?
投手はネイサン。
ちなみにこの夜レフトフィールドを守っていた
ハミルトンですが、この回からセンターへと守備変更になりました。
先日のアスレチックス戦でセンターの守備を担当していたハミルトンが
あまりにもひどいエラーをして大事な試合の勝利を逃したことはファンに大きな失望を与えました。
そのハミルトンがこれからセンターを守るというのです。
再び、ここでブーイング。
今度は”センターをハミルトンが守ること”対してのブーイングです。
こんなブーイングは初めて体験しました。シーズン終わりは
ブーイングばかりされていたような印象のあるハミルトンですが、
”絶対的エースとしてのハミルトン”を愛するファンは多く、この日の試合でも
小さい子供からお年寄りまで大勢の人が"HAMILTON"と書かれたTシャツを着ていました。
そんなファン達のために、もう少しいいところを見せて欲しかったですね。
ネイサンはあっさりヒットを打たれて4-1とされてしまいます。
そこへ更に犠牲フライ。2点目を追加されてしまいます。
レンジャーズ追いつくどころか引き離される一方。
この頃からどんどんレンジャーズTシャツを着た人たちがボールパークから帰り始めました。
あれほどたくさんの人たちが振っていたタオルもいまはどこにも見当たりません。
ずいぶん気温も下がってきて、かなり寒くなりました。
ふと斜め下を見れば、オリオールズのチームはダグアウトでただ目前にある勝利を静かに待っていました。
でも私たちはそれでも残り続けました。最後まで見届けるために。
9回裏、本当に最後のレンジャーズの攻撃。
なんとここで少し盛り返します。点ではなくて雰囲気でしたが。
クルーズ、ナポリが出塁し、ルーキーのプロファー君がヒット!
ここへきて満塁!そして打席に立ったのはマーフィー。
観客はもちろん総立ち、大きな拍手がマーフィーを包みました。
プレッシャーの中、”これはいけたかも?!”と思わされる
一打をマーフィーが放ちました。
しかし残念ながらあっさりとキャッチ。マーフィー、満塁ホームランを狙ってくれたんでしょうね。
駄目だったけど、頑張ってくれました。夢を見せてくれてありがとう。
そしてこのマーフィーのボールがキャッチされた瞬間、オリオールズの勝利とプレイオフ進出が決まり、
レンジャーズの2012年が終わりました。5-1、完璧なオリオールズの勝利です。
レンジャーズはシーズン後半に崩れたチーム一丸となったプレーを最後まで取り戻すことはできませんでした。
先日のアスレチックス戦3連戦、そしてこの夜の1戦を含めると
合計4試合、レンジャーズは負け続けた結果となりました。
途中からグダグダになっていったレンジャーズですが、ただこのワイルドカードの夜、
間違いなくダルビッシュ選手と上原選手の評価は上がりました。
勝利が決まった瞬間、ダグアウトを飛び出すオリオールズの選手たち。
オリオールズのファンも盛り上がっています。
しばらくぼんやりそれを見つめていたレンジャーズですが、
一人また一人とダグアウトを後にし始めました。
私はこの時見ていなかったのですが、夫がカメラにおさめていました。
最後まで一人、マウンドを見つめ続ける選手がいたのです。
それはクレイグ・ジェントリー。この時彼は何を思っていたのでしょうか。
誰もいなくなったボールパークインアーリントン。
4月にシーズンが始まって以来、私たち夫婦はしょっちゅうこの球場に通いました。
ダルビッシュ選手が出場したホームでの試合はすべて観戦し、そのアップダウンを見てきました。
ダルビッシュ選手がレンジャーズに来てくれなかったらこんなにのめり込むこともなかったでしょう。
のめり込むことがなければこんなに選手のことにも詳しくなれませんでした。
突如シーズンが終了して私を襲った空虚感に、初めて自分が
思っていたよりずっと熱い気持ちで
レンジャーズを応援していたのだとはっきり自覚したのです。
シーズン開始以来、ずっと首位を独走してきたレンジャーズが
まさかプレイオフ進出を前に失速し、シーズン終了を迎えるなどと想像していませんでした。
誰もが”ワールドシリーズまで進んで当たり前”という気持ちを持っていたのです。
来年までこの光景を目にすることはないのでしょう。
明かりが消えつつあるフィールドを見つめ、夫と私はボールパークを後にしました。
この時気温13度、寒い寒い夜でした。