ベスト・オブ・2013!ダルビッシュ有xヒューストン・アストロズ4月2日戦!(後編)
フォーーーーー!
投げるのをいったんやめて、靴ひもを結びなおします。ヒューストンはアウェイなので、こんな時にもブーイングが起こるんですよね。仕方ないけど切ないな。
ロージンを手に当てます。
攻撃陣もダルビッシュ選手を援護します。走る走るアンドラス君!!
土を蹴り上げながら、
一気に3塁へ!
ふー、一息。
ベルトレも頑張れー!
パワフルなスイングを見せてくれたベルトレ師匠。
今年の主砲に期待!
ネルソン・クルーズもレンジャーズ打線の要です。Cruuuuuuz!
いかにもメジャーリーガーのスイングですね。
この日ダルビッシュ選手のバッテリーメイトのAJ・ピアジンスキー。
なんとバットが折れた!
たしか6回あたりに夫が”もしかしたら完全試合いけるかも”と呟きました。え、ほんと?!同じように観客の誰もが思っていたようで、完全試合が達成できるかもしれない”そんな雰囲気がミニッツメイドパークを包み始めたとき、ダグアウトにも緊張感が漂い始めました。
キョロキョロするダルビッシュ。
キャップにはMLBのロゴ。この短くて暗めにカラーリングした新しいヘタスタイルいいですよね!こちらの日本人奥様たちにも評判がよいです。
どんな緊張感と言うと、MLBでは”その日の投手に話しかけると打たれてしまう(=完全試合が達成できない)”というジンクスがあり、誰もダルビッシュ選手には話しかけなくなったのです。一人で口笛を吹くダルビッシュ。
相手チームの攻撃の時もひとりポツンなダルビッシュ選手。
試合の中継をご覧になっていた方にはダルビッシュ選手がいないかのようにふるまうダグアウトの様子が確認できたことでしょう。
そんなぼんやり写真を撮っている一時!
ダルビッシュ選手が少しこっちを向いたと思ったら。
目の端っこでこっちをめっちゃ見た!!(笑)
もしかして・・・・”わ、あのいつもいるあいつらだ。アウェイなのにいるし・・・”とか、
”仕事なにやってんだろう”とか思ってたりする?見すぎじゃない??(笑)
あー、どきどきした(笑)
そして再び一人ぼっちでドリンクを飲むダルビッシュ。やはり誰も近寄ってこない。
マウンドに立つダルビッシュ選手、彼を見つめる観客の目がまた違ったものになってきました。
この日はいつもと違う行動を沢山していたダルビッシュ選手。
このころにはダルビッシュ選手が投げる一球ごとに、私は息を止めながら見守っていました。試合が始まったから私たちが口にしたものはコーラだけ。おなかは空いていたのですがそれどころじゃない!!ダルビッシュ選手のピッチングを息を止めて見守り、レンジャーズの攻撃の時はトイレ休憩でした(笑)
一瞬だけ目を閉じて呼吸を整えているかのようです。
レンジャーズが試合後半からどんどん点を入れ始めたので、もう諦めて帰っていくアストロズファンもいましたが、残ったアストロズファンたちがレンジャーズファンと一緒に試合の行方を見守り始めました。完全試合に立ち会うなんて滅多に経験できるものではないから、敵味方関係なくダルビッシュ選手の一球一球にくぎ付けになっていったのです。
ペースダウンすることなく、
快調に投げます!
打たれてもキャッチ!”完全試合なるか”、その文字がはっきりと皆の中に存在を示し始めたとき、レンジャーズ守備軍の空気も変わりました。”なにがなんでも守り抜こう”、選手たちのそんな気持を私は肌で感じました。アストロズの本拠地なのに、アウトをとるたびに沸き起こるレンジャーズコール。それは回を追うごとに大きくなっていきました。
そしてバッターたちも責める!
どんどん点を入れて、ダルビッシュ選手をサポート。
そしてもう一度ダルビッシュ選手の素晴らしい投球をいろんな視点からどうぞ。
まずはワイド。
同じ投球をズームイン!
これまたきれいに打たせてアウト!
そしてアップ!
誰も打たないで、絶対打たないで!!という気持ちを込めながら見つめていました。
一球一球がすべてが緊張最高潮。
そして運命の9回。これを乗り切れば偉業が達成されるのです。左上はダルビッシュ選手の試合成績。8回を投げて0ヒット、0四球、14奪三振。まさにパーフェクト試合が目の前に!
最終回の9回が始まってもなかなか出てこなかったダルビッシュ選手ですが、フィールドへ現れたときには敵味方なくものすごい歓声が沸きました。
もう完全に疲労のピークを超えているのがよく分かります。
あの”決定的瞬間”は夫のカメラでは撮影していませんでしたが、どうなったかは皆様ご存知の通り。まさか打たれるとは。まさか誰も取れなかったとは・・・・ミニッツメイドパークに大きな失望感が広がりました。その瞬間を記録に収めておきたいと、私はiphoneで録画していました。9回の初球から録っています。画面が揺れているのは緊張して手が震えてしまっていたんです(笑)それほどこちらも緊迫した状況でした。特に最後に打たれたときは悲鳴のような声が聞こえ、観客もショックを隠しきれませんでした。
あと1球だったのに。記録達成はなりませんでした。マウンドのダルビッシュ選手にチームメイトが駆け寄ります。
みんながここまで投げたダルビッシュ選手を労います。
私がものすごく好きなシーンで、いま写真を見ても涙が・・・・・
だってみんながこんなに笑顔!あまり笑顔を見せることのないダルビッシュ選手ですが、この日ばかりはやりきった気持ちが表情に出ていますよね。
そこへワシントン監督が歩み寄ります。一番左に立っているのは”完全試合を達成したらどうやってお祝いしようとしか考えていなかった”というキンズラー(笑)
ダルビッシュ選手からワシントン監督にボールが託されます。
ワシントン監督がダルビッシュ選手を労います。
ここでピッチャー交代、カークマンへ!試合はあとひとつのアウトで終了する事、レンジャーズがリードしたままということもあり、ロンちゃん珍しく笑顔で交代の投手を指名しました。この時の指揮官ロンちゃん、かっこよかった!レンジャーズ側のダグアウトへと戻るダルビッシュ選手に私たちは手のひらが痛くなるほど惜しみない拍手を贈りました。
レンジャーズファンにその名前を刻みつけたアストロズのゴンザレス選手。彼もまた必死だったのです。いやー、でもねー(笑)
カークマンに交代したあと、ちょっと怪しい場面もありましたがレンジャーズがみごと試合に7-0で勝ちました!試合終了後にフィールドへ出てくる選手達、そしてダルビッシュ選手を残っていた観客がみんな待っていました。
あと1球、本当にあと1球だったけれどダルビッシュ選手は今季最初の登板試合で忘れられないものを残してくれました。ありがとう!!
NHKのインタビューに応えるダルビッシュ選手。インタビューの後、ダグアウトへ戻るダルビッシュ選手に私達は手のひらが痛くなるほど拍手を贈りました。それに応えて、ダルビッシュ選手が照れくさそうに少し顔をあげて右の方に視線をやりながら笑顔を見せてくれたことが印象的でした。
素晴らしいリードを見せてくれたピアジンスキーもインタビューに応えていました。移籍が決まった直後は”MLBきっての嫌われ者”や”荒くれ者”、そんな噂ばかりを耳にしていたピアジンスキーでしたが、この夜私は彼の捕手としての実力の高さを思い知ったのでした。
注目されたテキサス州のチーム同士の試合。それは予想外にとてもドラマティックな展開になりました。
完全試合への道が絶たれた瞬間、信じられなくて私は涙ぐんでしまいました。
でもこの夜はダルビッシュ選手の素晴らしいピッチングはもちろん、レンジャーズの選手たちが彼をサポートするために必死で守ってくれた事も強く印象に残りました。特にマーフィーにモアランド、守備の苦手なキンズラーも必死でした。打たれても彼らがなんとしても、と守り切ってくれたのです。私たちはこの日のヒューストンでの夜の事を一生忘れません。ダルビッシュ選手、お疲れ様でした!!