ダルビッシュ選手、”あの日”から1年
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2015年3月5日。その日は何事もない、いつも通りの朝の風景で始まりました。おはようございまーす!この年の我が家は初めて生後8か月の娘を連れてスプリングトレーニング見学に行っていて、練習内容をじっくりと見るよりも小さな娘に振り回されつつその合間に練習を見学する、という変化がありました。子連れの私達にまわりの方はとても親切にしてくださり、それは今年も変わることなく、おかげさまで家族で楽しむことができました。今日は昨年のスプリングトレーニングのなかで、いちばん印象に残っている日の事を書いてみたいと思います。

ダルビッシュ選手も笑顔です!胸板すごE!!

この日はオープン戦初日で、ダルビッシュ選手の登板が発表されていました。我が家はもちろんチケット購入済み!

ダルビッシュ選手は和気あいあいと過ごしています。チームメイトやコーチと話したり、

ジョークも飛ばしあったり。

この日までにアメリカ人記者たちに向けて初めて英語でインタビューに答えたダルビッシュ選手、トレーニングがとても充実していることがその言動から伺えました。

ほぼすべてのメニューが終わったころ、一息ついた投手陣が向かったのは、

マダックスピッチングコーチ(当時)の元。マダックスコーチ、懐かしい~!私達の事も覚えてくださっていて、大好きなコーチでした。いま改めてみてみるとコーチのサングラス面白いですね笑。

コーチからのお話を真剣に聞いています。

今年のスプリングトレーニングで練習中に飲んでいたものは必要な栄養素を必要な時間に採るために考えられたピンクのドリンクでしたが、去年は水でした。

コーチのお話が終わると立ち上がり体を動かしたり。

懐かしい藤川選手。レンジャーズジャージの藤川選手はわずかな期間でしたが、それでも拝見できたことは嬉しかったです。

ちょっと時間に余裕ができたのでジョジョ立ち。いきなりのジョジョに藤川選手も一瞬驚きますがそこはポーカーフェイスで。藤川選手”ビクッ。なにも見えてへん、なにも見えてへん”(妄想)

ジョジョ立ちからのピッチングもイメトレしたりなんかして。

今日の試合では先発の為、他の選手よりも一足早くクラブハウスへ向かいます。


この日は我が家の見学最終日でもありました。近くで会えるのはこの時が最後。ダルビッシュ選手に「今日ダラスへ帰ります」と伝えたときに、笑顔で挨拶してくれたことを今でもよく覚えています。といってもこれは夫のこと。私はたぶん娘と一緒に遠くにいたんだと思います・・・(遠い目)今年もそんな事ばっかりだったな・・・

オープン戦の行われるスタジアムへ入場一番乗り!サプライズスタジアムは練習場のすぐ隣にあります。このように、とても美しいスタジアムです。レンジャーズとロイヤルズはもちろん、大学野球の試合などにも活用されています。

こちら、芝生席。ピクニック気分で試合観戦ができます。ただし!直射日光があたるので、くれぐれも紫外線対策と水分補給をたっぷりお願いいたします。そこのいちばんのりの少年も気を付けてね~!

さっそく席の確認。いつも練習場で会うセキュリティのジェフがスタジアムのセキュリティにも来ていたので、写真を撮ってくれました。こんな角度から撮ってもらったのは初めてです。ジェフありがと~!

試合の約30分前、ダルビッシュ選手がフィールドに出てきました。観客席にはお客さんがどんどん入ってきていました。

ひとり、入念なウォーミングアップ。

この光景はアーリントンのグローブライフボールパークでも、ダルビッシュ選手の登板前によく見かけるものです。

スパイクに履き替えます。

まずはロングトス。






しっかりとウォーミングアップを行った後はブルペンへ移動です。

チームメイトやマダックスコーチが見守る中、ピッチング。ミットにおさまる気持ちの良い音が聞こえます。

マダックスコーチはとても優しく紳士的な方でした。サプライズの練習場ではフェンス越しにダルビッシュ選手に”ユウサン”と話しかけ、ときに”イチ、二、サン”と日本語を使って会話している様子が聞こえてきたことも何度かありました(聞き耳立てていたんじゃないですよ!笑。娘がマダックスコーチの真後ろでフェンスにつかまり立ちしていたことがありまして・・・)


投げる瞬間。青いジャージが風をはらんで、一回り大きく見えますね。

準備OK、コーチも笑顔、マウンドへGO!

プレイボール!この日の試合はロイヤルズが先制でした。毎年オープン戦初日は施設を共有で使っているロイヤルズとの対戦なんです。お隣さんですからね。

レンジャーズの攻撃が終わり、ダルビッシュ選手の出番です。いきなり目の前から出てきました。WOW!!

マウンドに向かう姿はいつ見ても素敵です☆


マウンドを足で慣らし、

大きく腕を伸ばします。ひとつひとつ、丁寧に真剣に。これから投げるための大事な動きです。

そしてマウンドでのウォーミングアップ。

力強くもなめらかに・・・・






アップ完了、さあ、いよいよです。

2015年オープン戦初登板。

この日はアーリントンまでは遠くてなかなか行けないという、アリゾナの日本の方もたくさん見に来ていました。

初球です。








レンジャーズに入団して4年目、すっかりレンジャーズの顔となり、毎年ファンを魅了し続けているダルビッシュ選手です。

続けて2球目。

打たれたボールを眩しげに目で追います。練習と違ってマウンドではサングラスをしないので、きっとかなり眩しいですよね。


手にしたボールをじっと見つめて、

なにかを考えているような仕草を見せたダルビッシュ選手。

この日投げたのは全部で12球。いいスタートのように思えました。

スタンドで観ていた誰もがそのあと起きる事態についてはまったく予想だにしていなかった筈です。

しかし、この時すでに・・・・・・

ブルペンで違和感を察知していたであろうダルビッシュ選手。

マウンドで投げても違和感は無くならない・・・・・。

それでもきっと大丈夫だと思い、この回を投げきったのではないでしょうか。

そしてこれがダルビッシュ選手が2015年最後に投げることになった球。この数日後靱帯の損傷が診断され、レンジャーズファンは大きなショックを受けました。前年、最下位に沈んでしまったレンジャーズでしたが、2015年こそとはいう思いが強く、そしてやはりその思いはダルビッシュ選手に託していた人が多かったからです。















まさかこの時のこの登板が2015年最初で最後の登板だと誰が想像したでしょうか。私達ももちろん、そんなことに考えはまったく及びませんでした。

試合は二回裏に入り、カメラマンたちもネット裏に集まりダルビッシュ選手をレンズ越しに追いかけています。

しかしダグアウトから出てきて、マウンドに行くと思ったら、

クラブハウスへ引き上げていきました。ダルビッシュ選手は本来2イニング投げるはずのところ、予定よりも短い1イニングで終了しました。

以前にもこの時の事を書きましたが、このダルビッシュ選手のいつもとは違う後姿に引っかかるものがありました。

少し俯き加減に立ち去るダルビッシュ選手に、あれ、なんだかおかしいな。そんな気持ちを抱えながら、私たちはダラスへ帰るために急ぎ足で空港へ向かったのでした。

その日ダラスへ着いて間もなく、私たちはダルビッシュ選手の怪我の事を知り、落胆しました。レンジャーズにとっても。そしてなにより当事者であるダルビッシュ選手にとってはどれほどのショックだったろうかと思います。

昨日の2016年3月5日、”あの日”から1年がたちました。2015年のダルビッシュ選手にはすべてが初経験の年になったことと思います。トミー・ジョンという投手にとって大きな手術を受け、リハビリを経て、そしてその後の驚異の体づくり。再び彼が力強く美しいピッチングを見せてくれる日が少しずつ近づいています。
